センター大学 国際文化学科4年 加藤愛花 <3号 2024年1~2月>

2024年1月1日、石川県能登半島を震源とする地震が発生しました。被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。

今回は、1月にあるセンターターム(Centre Term、センター学期)と2月から始まる春学期で取った授業とその内容、1月・2月でかかった生活費(1ドル148円~153円)、そして約6カ月の留学を通して感じたことについて書いていこうと思います。

センタータームの授業

THR 315-a The Company

月曜日から金曜日の週5日、時間は午後12:30~15:30の3時間です。他の授業と違ってセンタータームが終わり、春学期が始まった2週間後に本番があったので春学期の授業との両立が大変でした。この授業に教科書は無いのでお金はかかりません。第1希望のHUM261 Rainmaking: The Study of and Preparation for Leadershipというリーダーシップについて学べる授業を取りたかったのですが、定員が埋まってしまい、第2希望の演劇の授業を取ることになりました。学生は2つの仕事を選ぶことができ、私は舞台監督(Stage Management)と小道具(Prop)を選びました。

オンラインパンフレットでキャストや裏方の紹介をするために撮った写真

オンラインパンフレットでキャストや裏方の紹介をするために撮った写真です。「この写真を就職活動に使うから、もう1回撮りなおして!」と言っていた学生もいました。

初日は、11月のオーディションですでに決まっていた俳優(Cast)が台本を一通り読み、学生みんなで台本に書かれてある世界を解釈していきました。1週間ほどかけて劇の解釈をしたら、衣裳、大道具、小道具、照明、音響、広報、俳優と舞台監督のチームに分かれてそれぞれ仕事をしていきます。舞台監督は俳優の立ち位置、俳優に合図を出す、俳優が練習中にセリフを忘れたらそのセリフを教える、そして小道具を手渡すタイミングを確認していきます。小道具は舞台に必要な道具をアマゾンで調べ、それをスライドにまとめて責任者に渡すのが仕事です。

初日の授業風景

初日の授業風景です。自己紹介から始まり、教授から舞台監督や小道具などの仕事の説明がされます。

初日の授業風景2

登場人物のイメージをしやすくするために夜19:30に映画を見ました。ピザとジュースを教授が用意してくださいました。

俳優の立ち位置を把握するためのプリント

俳優の立ち位置を把握するためのプリントです。フランスが舞台の三銃士が今回の劇のテーマなので、セリフ中に出てくる地名をネットで調べたり、俳優がどの順番でどこから登場するのか、どのシーンで小道具を渡すのかをメモしていきました。

小道具のチームでまとめたスライドの一部1
小道具のチームでまとめたスライドの一部2

小道具のチームでまとめたスライドの一部です。馬が走る音を表現するためのココナッツを3種類アマゾンで探しました。

授業は午後の3時間だけですが、大道具の手伝いとして午前9:30~11:30まで舞台設計、授業後はセリフの意味調べや人物関係、時代背景や俳優の立ち位置の再確認を午後22:00まで図書館で整理するなど、起きている時間はほぼ仕事をしていました。また本番近くになると、平日は午後18:30~22:00まで、そして土日もリハーサルがありました。リハーサルで俳優に合図を出すタイミングを間違えたり、指示が理解できなくて何回も聞き直したりと大分迷惑をかけましたが、クラスメイトの優しさと手助けで1月を乗りきることができました。

舞台を組み立てている様子

大道具のチームと合同で舞台を組み立てていきます。インチ(inch)の表記や道具の名前に慣れるのが大変でした。手袋や、目を保護するメガネは在庫があるので借りることができます。

殺陣の練習の様子

助っ人として殺陣の練習に参加しました。後ろの方に座っている学生は3人いる舞台監督のリーダーで、普段はその子の隣に座って俳優の立ち位置を確認しました。

本番数分前の写真

本番数分前の写真です。この場所から俳優に合図を出して劇をスタートさせるのが私の役割でした。

4日間の公演期間でしたが、最終日にリーダーが舞台監督、照明、音響に向かって「あなたたちが私のチームでよかった。ありがとう。」とマイク越しで伝えてくれたとき、とても心が温まりました。

春学期の授業

ARS 131-a Ceramics: Hand-Building

火曜日と木曜日の週2日、時間は午前9:40~11:10の1時間30分です。秋学期は座学中心の授業を取ったので、スピーキングに集中するためにこの授業を取りました。この授業は$75かかります。

この授業の達成目標の1つにタイムマネジメントがあります。締切日までにギリギリ間に合う課題を教授が出し、それを締め切り日から逆算して制作していく必要があります。例えば、最近では5日間で8個のコップを制作する課題が出されました。1個を制作するのに1時間以上かかるので、30分でも空いた時間があれば教室に行って作品を進めていきました。ただ単に作品をつくるだけではなく、様々な能力も成長させられるのがこの授業の魅力です。

陶芸の教室

陶芸の教室です。深夜0:00過ぎまでここで過ごして、教授に指定された課題をつくることが多いです。よく洗面台から水が漏れて床が水浸しになっています。

ARS 210-a Introduction to Oil Painting

月曜日と水曜日の週2日、時間は午前9:40~11:10の1時間30分です。この授業を取るためには、秋学期にARS 110を取るか、ARS110を取っていない場合は、教授に自分が描いたスケッチをメールで送る必要があります。Ceramics(陶芸)と同様、スピーキングに集中するためにこの授業を選びました。この授業を取るためのお金はかかりませんが、道具を揃えるのに約$140かかりました。

授業では静止画を描いています。教授が出す課題は1つ1つに時間がかかりますが、学術的な知識を理解するとそれを絵の技術に使うことができるので、時間をかけた分だけ絵を向上させることができます。光の当たり方によって油絵具が光るので、それを見ることでストレス解消になっています。

授業で描いた絵1
授業で描いた絵2
同じ絵ですが、角度が変わると絵具が光ります。とても綺麗です。

BUS 220-a Introduction to Marketing

月曜日、水曜日、そして金曜日の週3日、時間は午後15:00~16:00の1時間です。この授業を取るためには、私が秋学期で取ったECO110(9・10月号、11・12月号で説明)の知識が必要です。オンラインの教科書が2冊必要だったので、教科書代として計$135払いました。

ビジネスにおける4つの原則、顧客が購入するときに関係する環境や要因などを学びます。課題レポートに、自分がマーケターになって架空の経営者の相談に答えるというものがあります。経営者やその分野に関する情報が提示され、それを基に判断し、経営者への回答を論理的に書いていきます。だれの回答が間違いで、だれの回答が正解だというのはこの学問には無いですが、根拠を持って自分の主張をする必要があります。

また、教授が様々な企業の方をゲストスピーカーとして招くので、その方への質問を3つ考えて提出する課題もあります。これまで「tripshock」の最高戦略責任者や、「ofi」の部長の方々が話をしてくださいました。

ビジネスの授業で使う教室

ビジネスの授業で使う教室です。秋学期の経済(ECO110)もこの教室で受けました。

INT400 Internship Leadership & Communication

月曜日から金曜日の週5日、時間は月曜日から木曜日は午後12:30~14:30、金曜日は午前9:40~11:40の2時間です。F-1ビザを取得してアメリカに入国している私たち交換留学生は学外でのインターンシップをすることはできませんが、学内でのインターンシップは可能です。

私のインターンシップ先はリンカーン・スカーラーズ・プログラムという奨学金制度を総括しており、元山口県立大学国際文化学部教授のシャルコフ先生のところです。仕事内容は奨学金受給者の経験したことやその感想を載せた新聞やチラシの作成、ウェブサイトの編集、新しい奨学金受給者の選考過程の補助、卒業祝賀会の企画の支援です。

このインターンシップを通して、メールの書き方が改善し、奨学金を受給している学生との関係が拡がりました。上下関係がないと言われているのがアメリカですが、友人以外のメールは丁寧に書く必要があります(教授など)。どの単語がその相手に相応しいか、同じ学生同士で上下関係は無いけれどより正式に書くための校正を監督がしてくださったおかげで、英語でのメールの書き方が身に着きました。

指導員が申請して購入してくださった本

左にある本は、指導員が私のために申請して購入してくださった本です。この授業を受ける学生は最低でも2冊、本や論文に書かれてある知識をインターンシップに活かす必要があります。

金曜日に一緒の時間帯に働く学生と監督との写真
左の学生は、金曜日に一緒の時間帯に働く学生です。
最近日本への留学が決まり、真ん中にいる監督とお祝いしました。

課外活動

センタータームの劇が終了した後、「次の劇の舞台監督助手を募集しているがやらないか」という誘いを受けました。4月下旬の本番に向け、月曜日から木曜日の週4日、午後16:00~19:30にリハーサルをやっています。

最初はこの誘いを断るつもりでした。しかし、これを英語に触れる時間を増やす機会だと捉え、この誘いを了承しました。また、センタータームでの初めての劇の裏方で何も分からず、「外国人の中でもリーダーシップを発揮する」という目標を達成できずに終わったのが心残りでした。そのリベンジとして、舞台監督助手としての仕事を引き受けました。

課外活動の様子
練習中にバルーンを使用しました。この写真の後に舞台監督&助手も参加したのですが、これをやるのは幼稚園以来だったので懐かしかったです。

生活費

1・2月の生活費です。割り勘をする際、私が友達の分の料金を支払ったため請求がきた値段(私と友達の分)と実際に私が使った金額(私の分)に差があったり、クレジットカードのキャッシュバックがあったため、内訳の合計が総合計と合っていません。

1月 合計約$90(約¥13,500)

内訳

  • Ø 食費: $43(約¥4,480)
  • Ø 服飾費: $22(約¥3,200)
  • 雪用のブーツを買いました。今年の冬は雪があまり積もらなかったみたいですが、歩いていて滑ることがあったので購入しました。
  • Ø 日用品: $8(約¥1,280)
  • インスタントラーメンをつくるための鍋をGoodwillという中古のお店で2つ購入しました。アジアンマーケットで買ったそうめん、そば、うどんを茹でるのにも使っています。
  • Ø 娯楽: $17(約¥2,570)
  • 友達がアイススケートに連れていってくれました。
アイススケートの様子
まるで小鹿のようでした。

2月 合計約$340(約¥50,300)

内訳

  • Ø 教科書代: $135(約¥20,600)
  • マーケティングの授業でかかった費用です。
  • Ø 道具代: $140(約¥21,000)
  • 油絵具、パレットナイフ、筆にかかった費用です。スケッチブックも購入する必要がありますが、教授が余分に持っていたので頂くことができました。
  • Ø 食費: $30(約¥4,400)
  • インスタントラーメンが私にとってのご褒美なので定期的に買っています。韓国のラーメンがとてもおいしいです。
  • Ø 薬代: $31(約¥4,600)
  • 劇本番の1週間ほど前に咳がひどくなったので、保健室に行った際にかかった薬の代金です。コロナもインフルエンザも陰性でした。私はただの風邪でしたが、連鎖球菌性咽頭炎が流行していたので、アメリカに行く皆さんは1、2月の体調管理は大切です。

6カ月の留学を通して感じたこと

予習をしていても教授や学生が授業中に話していることが分からなかったり、もっと自分の英語の発音を改善させる必要がありますが、「楽しい、もっと英語を使いたい」と思えるようになってきました。

「英語を使いたい」というのは留学に来ているからには持っていて当然の感情ですが、自分が話す英語によって相手が眉をひそめる表情に何回も傷ついてきました。あの表情を見たくなくて、英語を話すのに消極的になっていく自分もいました。しかし、受け入れてくれる学生がたくさんいることも知りました。移民が多いこのアメリカでは、英語をあまり話せない保護者をもつ、英語が堪能な学生たちがいます。その学生は、英語が第2言語の私たちをその保護者と重ね合わせて接してくれます。今まで怖がってばかりいましたが、少しずつ自分のペースで交流していこうと思います。