釜山大学校(2018年度交換留学生)国際文化学科3年 村田恵 <最終号>


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 私は、留学するにあたって「常に学ぶ」という目標を掲げました。「普段の生活において日本との相違点を見つけたら、「なぜなのか」と思う心を忘れずにいたい」「異文化に適応しようとするために、ストレスを感じることがあるかもしれないが、それを負担に思わず、新たなことを学ぶいい機会だと捉えて行動したい」という、2つの理由からこの目標を掲げました。留学を終えた今、この目標は85%ほど達成できたのではないかと考えます。
 留学当初、在留手続きや大学の事務手続きなど、様々な手続きをしていく中で日本の対応とは違う文化に驚き、時には嫌な気分になることもありました。しかしその文化の違いを「しょうがない」で片づけるのではなく、「どのような背景や文化があって、このようになったのだろう」と考え、自分なりに答えを出してきました。この「常に学ぶ」という姿勢を忘れずに留学をしたことで、大きなカルチャーショックを受けることもなく、ストレスや辛いことが起きても前向きに明るく考えることができたと思います。
 残りの15%に関しては、留学にも慣れてきて帰国が近くなった11月12月あたりで、「常に学ぶ」という考えが薄れてしまったため、100%は達成できませんでした。

 最初の頃は、ネイティブのスピードと方言が相まって韓国語があまり聞き取れず、教科書やシラバスに書いてある単語すらも分からないものが多くありました。一緒に留学した井関さんによく頼っていたため、留学当初は静かな子だと思われていたようです。1~2か月過ごすうちに徐々に耳も慣れてきて、あまり自信がなかったスピーキングに自信がついてきました。
 後期では現地の学生と同じ授業を選択することで、韓国語で新たなものを学ぶことに挑戦しました。国際法入門の授業を受講したのですが、受講した理由が「国際〇○という授業なら何かしら単位交換できそう」「時間帯がいい」という単純な理由から受講しました。しかし、後期はこの授業のおかげでかなり苦労しました。国際法で扱う専門的な用語について知らないのはもちろん、教授が板書をしない方でした。日本語では聞き取れた音をそのまま文字に表すことができますが、韓国語の場合連音化や鼻音化などで、文字表記と音が違う場合が多いため、聞き取った音がどのような表記になるのか調べることに時間がかなりかかりました。テストも選択式ではなく叙述式回答だったため、国際法に関する単語を覚えるだけではなく、文章で説明できるようにテスト勉強を夜遅くまでしていました。頑張った甲斐もあり、テストではそれなりの点数を取ることができ、教授からクラスメイトの前で「外国人の方が点数が取れている」と言われたときは嬉しかったことを覚えています。

 寮生活に関しては、前期はストレスが多かったです。特に6月は不眠症になりかけたぐらい、部屋にいることも眠ることも大変でした。20年間実家で暮らしてきて、「家は休める場所」だと考えていたため、部屋で気が休まなかったことがストレスに繋がったのだと思います。後期は新しい寮になるなど環境が大きく変わったこともあり、ほとんどストレスを感じたことはありませんでした。

 留学したいと思った動機が「教科書では学ぶことのできない韓国語」「よりネイティブらしい表現」は、実際に韓国で生活してみなければ学べないと思ったからでした。山口県立大学で学んでいる韓国語と、韓国の番組でよく使われている韓国語の表現の差が気になり、実践力を身につけることも含めて現地で学びたいと思うようになりました。留学中、教科書で習っていた表現よりも頻繁に使用する韓国語表現にたくさん出会いました。また、日本語会話の授業を受講することで「韓国人から見た日本」「韓国人が間違えやすい日本語」「直訳してはいけない表現」を学ぶこともできました。アイドルなどの芸能人を通してではなく、身近な人々を通して韓国語に触れたことは、韓国語学習における大きな糧になりました。

 今後の目標として、「上級表現を身につける」「よりネイティブらしい発音・表現について学ぶ」の2つを掲げます。留学をしたことで、日常生活や授業で使う韓国語については知識が増えましたが、ニュースや新聞などで使われる難易度の高い言葉については分からない部分が多いためです。「韓国語上手ですね」と言われるということは、私が外国人だと分かるレベルでそこから抜け出して、話していてもこちらから「日本人です」と言うまで外国人だと気付かれない、ネイティブにネイティブかと思われるくらいのきれいな発音を身につけたいと考えています。また、留学の経験を生かし、韓国語学習者や日本語学習者のサポートができるような活動をしていきたいとも考えています。 たくさんの韓国人、海外からの留学生、そして日本人と出会い、韓国語で話し交流を深めたことは、かけがえのない経験になりました。ニュースなどで報道される偏りのある情報だけではなく、韓国語を学び自ら情報の取捨選択の幅を広げられたことで、異文化理解をこれからも深めていけると考えます。