ラップランド大学(2017年度交換留学生)文化創造学科3年 川口千穂<2号 2017年11~12月>


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 Hyvää uutta vuotta! 人生で初めて、日本ではない場所で新しい年を迎えました。初めての経験が沢山です。大晦日には、友人に森へ連れて行ってもらい、雪の上を歩き、火を焚き、ソーセージやマシュマロを焼いたり、コーヒーを飲んだりしました。森に流れている川から水を汲み、やかんを木の枝にぶら下げてお湯を沸かしていました。全てが自然で、知恵があり、彼らの暮らしを見ていると、忘れていた大切なことを思い出します。何をするでもなく、ただそうやって好きな人たちと、自然と、何でもない話をしながらのんびりと過ごすあの時間は、何て豊かで愛おしい時間なんだろうと思います。その後は友人たちとまちへ戻り、花火を見ながら2018年を迎えました。


 花火について面白いことを知りました。フィンランド人の友人曰く、フィンランドでは12月31日の18時~1月1日の2時のたった8時間だけ、個人的に花火をすることが許されているそうです。大晦日も夕方から所々で花火の打ち上がる音が聞こえていました。私も、手持ち花火をやらせてもらいました。日本では見たことのない大きさでした。また、"花火"をフィンランド語では" ilotulitus=喜びの火"と呼ぶらしく、フィンランドの人たちがひとつ橋の下に集まってひそやかに年を越す、また新しく年を迎えられた喜びを共有している光景にとても納得しました。見たままの形ではなく、そこに感情があることに感動しました。日本人の私たちにとって花火は、夏のお祭りをイメージしますが、彼らにとってはおめでたい日の花火です。こんな小さなところにも、文化の違いを見つけることができました。

 さて、授業についてです。秋学期後半は、テスト勉強やエッセイに追われ寝れない日もありましたが、やはり、ここでしか学べないことばかりで面白かったです。学びながらフィンランドの文化を知ることができました。特に、ロヴァニエミのアイススケーティングクラブとコラボレーションして行った授業は実践的でやりがいがありました。私は自分の学んでいるフィールドを活かし、他3人のメンバーと子どものアイススケーターのための衣装を担当しました。予算内で作ることが可能なデザインを考え、先生やクライアントとコンタクトを取りながら進めていくのが大変でした。30人分の衣装を作る依頼だったので、彼女たちの親御さんへ向けたワークショップを開催しました。作り方を見せながら、一緒に作業をしました。それまでにもミーティングを重ね、クライアントがいる中での相手とのやりとりや、プレゼンテーションのやり方を実践的に学びました。
 授業は、必修がなく、先生に相談すると、自分の興味のある分野のものを取れるようにアドバイスをくれます。しかし、日本のスタイルとは違って、ひとつの授業に対して曜日や時間帯が決まっていません。同じ授業が1週間に何度かあることもあります。そのため、試験期間はなく、授業が終わり次第テストやレポートがあるので、スケジュールを自分でしっかり管理しなくてはなりません。私も、授業が重なって片方の授業に出れないことがありました。内容を理解するためにも、全ての授業に出席できればいいのですが、難しい部分があります。その場合、先生に一言相談すれば、スライドを共有してくれるなど何らかの形で助けてくれます。

 授業外でも新しいことを沢山経験しましたが、全てが初めての経験でした。ひとつは、観光系のお仕事をしている友人の手伝いをしたことです。観光でいらっしゃったお客様にフィンランド料理を振る舞ったり、フィンランドでの暮らしを伝えたりしておもてなしをしました。フィンランドの魅力を伝えることができて、自分もまたフィンランドを好きになって、新しい出会いもあって、本当に幸せな気持ちになりました。


 新しい出会いもあれば、別れも沢山です。仲良くなった友人やフラットメイトはほとんどが1セメスターの留学なので、秋学期が終わると、それぞれの国へ帰ります。本当にあっという間でした。少し早過ぎます。それぞれの国を離れ、同じ時期に同じ場所で出会えたのは奇跡です。特にフラットメイトとの思い出は大きかったです。全員で、「私たちは本当に幸運だね」と笑い合いました。昨日、そんなフラットメイトの1人がロヴァニエミを離れました。みんなで、ロヴァニエミのシンボルであるロウソク橋に鍵をかけに行きました。とても寂しいですが、最高の思い出になりました。またこれから半年、素敵な出会いと、かけがえのない思い出ができるのかなと考えると、ここにまだ残れることを本当にありがたく思います。日本でも、ここでも、いつも側で支えて応援してくださる皆様には本当に感謝しています。


 他にも、クリスマスマーケットの手伝いをしたり、フィンランド文化であるアイススイミング(表面が凍った川や湖に穴をあけ泳ぐ)を経験したりしました。サンタクロースにも会えました。フィンランドやフィンランド人を知ってから、彼らを見ていると感動することが多くあります。彼らの感性や、人と接する姿勢、自然やものと関わる姿勢に憧れます。木からぶら下げる花火のやり方がフィンランドにはあるのですが、それを"星の雨"と表現したり、サンタクロースのお手伝いのトントゥと呼ばれる小人のために、部屋の隅っこに小さな小さな扉を作ったりするのです。初めて会ったのにも関わらず、何でこんなによくしてくれるんだろうと思えるほど助けてくれたり、フィンランドも彼らのことも、もっともっと知りたいと本当に思います。フィンランド語で会話ができることもほんの少しですが増えました。学ぶにはもちろんですが、暮らすにも本当にいい場所です。12月は特に極夜で、暗い中通学し、授業をひとつ受けて外を見るともう真っ暗というように、日照時間が短くなります。また、明るい内でも天気が悪いことが多いので、太陽や青空を見ないことがほとんどでした。初めは戸惑い、太陽の光を浴びれないため元気が出ませんでしたが、慣れると気にならなくなりました。知らないことが沢山で困ったこともありましたが、みんな助けてくれます。この報告を読んでくれた人が写真を通して、私が見た景色とフィンランドがどのような場所か知ってもらえると嬉しいです。

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