桜の森アカデミー「在宅ケアマイスターコース」講座Ⅸ「こころとからだのしくみと生活支援技術」

 「桜の森アカデミー」は、一般県民と学生が一緒に学びながら地域活動に貢献できる人材を育成することを目的とした共生教育の場です。
 在宅ケアマイスターコースでは、家族や地域の介護力を高めるために、介護に関する基本的な知識と技術を有する人材の育成を目指します。

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 このコースの講義Ⅸ「こころとからだのしくみと生活支援技術」における「整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護」では、利用者本人の力を利用し身仕度を整える介護を行うための技術を身につけます。
 8月19日(土)は、(一社)山口県介護福祉士会の鳥居紀子氏と上本拓矢氏を講師に迎え、講義・演習を行いました。

 まず、身体の自然な動きの原理や法則に沿った介助(ボディメカニクスの活用)について、解説ビデオを見ながら基本を学習した後、体を動かしてボディメカニクスがどのようなものかの体験がありました。ボディメカニクスには「物を持つときは対象に近づいて重心を安定させる」などの原則があります。受講生たちは、手を伸ばして椅子を離すのと、肘を曲げて体に近づけるのとでは、後者の方がずっと楽であることを実感していました。
 筋肉と骨の構造や力学を理解して、それを活用することができれば、介護される側の残った身体機能を活かせるので、自立と生きる自信の向上につながります。


 次に、一部介助を必要とする利用者に対する衣服着脱の介助の実習がありました。身支度を整えることは社会に出て行こうとする意欲を高める一助になり、また、好きな洋服を着るということは自己表現の手段になります。この実習においてもボディメカニクスをしっかり活用されています。
 受講生たちは、左片麻痺という設定で、2人の講師によるデモンストレーションを見た後、介護職がどのように着脱を介助するのかを実演しながら学びました。


 左片麻痺の場合、健康な右側から脱いで、麻痺のある左側から着るように介助します(脱健着患)。鳥居氏は「まず挨拶と自己紹介、体調確認をした上で、今から何をするかの説明と『同意を得る』ことによって『自己決定権の尊重』をすることが非常に大切です」と強調しました。


 受講生は、どのように介助すればいいのか、また、正しい動作を促すためにどういった言葉を使えばよいのか最初は分からず、実習中は難しさを実感しつつも、鳥居、上本両氏の指導に熱心に聞き入り、技術を身につけようと奮闘していました。