在宅栄養フォーラム in 防府

 3月10日(木)、本学が地(知)の拠点整備事業(COC事業)で取り組んでいる、健康福祉社会づくり研究の一環として、「在宅栄養フォーラムin防府」を開催しました。

 このフォーラムは、平成6年から開始されている在宅患者訪問栄養食事指導がまだまだ十分に行われていない現状を踏まえて改善策を検討することを目的に開催したもので、医師、訪問看護師、管理栄養士など41名の参加がありました。

 まず、下関医療センターの山下智省副院長から「栄養療法の今後-病院と在宅」と題して基調講演がありました。
 平均寿命の延伸に伴って健康寿命も伸ばすことが求められていますが、それを阻害する因子として、メタボリックシンドローム・認知症・ロコモティブシンドロームの3つが挙げられます。特にロコモティブシンドロームは筋力や身体機能の低下虚弱を引き起こす最大の原因であり、入院すると運動不足からロコモティブシンドロームとなり、寝起きや移動、着脱衣などの日常生活に必要な基本的動作が著しく低下します。また、入院前の高齢者の多くがすでにロコモティブシンドロームを併発しており、治療の妨げにもなっています。そういったことを踏まえ、病院内ではNST(栄養サポートチーム)が発展してきています。さらにこれからは、病院外で多職種がチームを組み、在宅での栄養運動活動を啓発していく事が重要となるとお話されました。
 質疑では、開業医の方から、患者が退院して在宅に移行する場合は入院中にどのような栄養治療を行ってきて今後はどのようにすればいいのかについて、病院の医師は情報提供を行ってほしいという意見が出ました。また、病院内では看護師が入院患者のスクリーニングとして栄養評価を行っているが、在宅ではどの職種が行えばいいのかという質問などがありました。




 その後、山口県栄養士会の中谷昌子会長から「今後の在宅栄養を推進するために~山口県栄養士会から~」と題し、山口県栄養士会として栄養ケア・ステーションを山口市に設置して管理栄養士72名と栄養士7名を配置し在宅栄養に取り組んでいる現状をお話され、利用方法の紹介がありました。

 また、食のこんしぇるじゅの松村史樹代表からは「訪問栄養指導の現状」について講演いただきました。




 パネルディスカッションでは、上記の講師に加え、甲嶋内科の松村康博院長とコミュニティプレイス生きいき(有)オールライフサポートの原田典子代表がパネラーとして登壇しました。参加者から沢山の質問があり、とても有意義な会となりました。




 今回のフォーラムを通して、山口県全体として在宅栄養が進んでいない現状が明らかとなり、様々な職種が個々で在宅栄養の必要性を感じていることも分かりました。
 今後、在宅栄養をいかに全県に広げていくべきか、県や各市町村の行政、医師会、歯科医師会、山口県栄養士会、看護師会、薬剤師会、理学療法士会、作業療法士会、山口県栄養サポートネットワークなど様々な職種との連携強化を図りながら、本学としても継続して考えていきます。