キャリアアップ研修「発達障害の理解と具体的な支援」を実施しました

 本学では、現職者のスキルアップや職場復帰のための再教育等を目的とした専門職向けの研修を実施し、地域における教育・福祉・医療等の分野の充実を通して、県民が安心して暮らせる地域づくりを目指しています。

 8月9日(水)、「発達障害の理解と具体的な支援」を開催し、県内各地から小・中・高等学校教諭、幼稚園教諭、保育士ら170名が参加しました。
 この研修では、発達障害のある子どもの理解と支援について専門的に学ぶとともに、専門家の能力・資質について再考します。また、発達障害のある子どもを含む保育・教育の方法も探究します。
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 はじめに看護栄養学部の中村仁志教授が、発達障害が増加していることと、その背景に診断基準の拡大など複数の要因があること、また、発達障害の特性について解説しました。何年も前の記憶がごく最近の記憶と同じように思い出されるなど、発達障害を理解するための事例が多く紹介されました。


 社会福祉学部の藤田久美教授は支援に携わってきた経験を踏まえ、発達障害のある子本人と、その保護者への支援についてエピソードを交えながら話をしました。気になる子どもに出会ったときから支援を開始することや、支援者が保護者の話に耳を傾け共感することの大切さについて説明がありました。


 午後からは独立行政法人国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム推進センター総括研究員の久保山茂樹氏が「子どもと支援者が共に学び合うことの大切さ~インクルーシブ教育システムの推進からの提案~」をテーマに、発達障害のある子を含む保育・教育の方法について講義を行いました。発達障害のある子の具体的な支援として「合理的配慮」にふれ、障害名で子どもを見るのではなく、「どのような配慮や支援があればその子が過ごしやすいか」ということに目を向けていく考え方や方法を示しました。


 講義後の質疑応答・意見交換では、多くの質問や感想が出され、全国各地で講演をしている久保山氏も「講義中もものすごい集中力で聞いてくださり、感想や質問の内容も中身が濃く、山口県の先生方の熱心さに感銘を受けました」と話しました。


 参加者の中には本年5月開催の宇部市学びの森くすのきサテライトカレッジで中村・藤田両教授の講義を聞き、「もっと専門的な先生方の講義を受けたいと思い参加した」という子育て支援員の方もいました。
 参加者からは「子どもを見る目を磨き、保育の中に活かしていきたい」「新学期からの学級運営に役立てたい」という声も聞かれ、今後の教育現場での実践に活かせる研修となりました。