中国北方方言における親族呼称の表現


関連ワードで検索する

 青島大学日本語学部長の張淑玲先生との間で、2008~2009年度にかけて共同研究を行なっています。親族呼称の表現は、言語のみならず、地域・歴史・民俗などの側面とも密接な関係をもっています。表現の多様性、数量の豊富性、各地域の複雑性により、中国語の学習に大きな負担となっています。例えば、中国の四川省で起きた大地震のとき、温家宝は子ども達を励ますために、自らを「温家宝御爺さん」を称して呼びかけを行なっていたことは、日本人の中国語学習者からなぜかという質問があがりました。
 親族呼称の研究では、共通語のみならず、共通語の基礎方言である中国北方方言を中心にして、親族呼称の内部構造、地域特性、歴史的変遷ルート、主な使用規則、方言と共通語の関係、日本語との対応関係などについて解明することを目的にしています。
 2008年9月中旬に、共同研究者2人が青島、済南、済寧、曲阜等市にをまわり、方言調査を行いました。また、現地大学の専門家を訪問し、関係資料の収集を行なっています。結果の一部については2009年の夏に相互確認をし、『中国語研究』等に発表したいと考えています。
 
(国際文化学研究科国際文化系主任 馬鳳如教授)
 
 以下、国際共同研究とは異なりますが、長年にわたり日中間の交流や研究等に従事している関係で、2008年12月13日(土)、在日華僑華人の代表として、日中韓三国首脳会談に参加するため来日した温家宝総理に会見する機会を得ました。二度の会見で、「温情総理」「平民総理」の純朴で誠実な人柄に心を打たれたので、その様子をここに報告したいと思います。
 
 
 当日午前、私は華人華僑代表、留学生代表とともに福岡空港にて温総理を出迎えた。11時20分、総理は微笑みながらタラップを降り、私たち一人一人に握手し、声をかけた。夜、もう一度総理にお目にかかることができたが、このときは握手ののちに記念撮影を行い、総理のスピーチを伺った。本当に感慨無量であったが、特に以下のことは忘れがたい思い出となった。

「温情総理」の温情

 総理は飛行機を降りたのち、日本政府の高官と握手をしたあと、すぐに出迎えの人々の中に入っていった。まず日本の青少年たちに歩み寄り、彼らの歓迎のパフォーマンスをしっかり見たのち、彼らに声をかけ、再三にわたり謝意を示した。最後に華僑華人代表のところにきて、一人一人と握手をして声をかけてくださった。夜8時40分、日中韓三国首脳の政治日程が終了したのち、すでに連続十数時間の激務をこなしているにもかかわらず、九州国立博物館で駐日大使館、領事館職員、華人華僑代表、留学生代表に接見した。総理自らが我々の方に歩み寄り、握手をし、声をかけてきた。記念撮影のあと、立ったままで25分間のスピーチがあった。総理の謙虚で穏やかな人柄、真心のこもった誠実な語り口に、その場にいた者はすべて深く感銘を受けた。

効率の高い、献身的な仕事ぶり

 夜の会見時、温総理は我々にその日の厳しいスケジュールについて、「我々の今回の訪問は非常に短時間で、朝8時に予定通り北京を出発し、夜は北京時間12時(日本時間深夜1時)に北京に戻る。」と、語った。先日『人民日報』の記者が『温総理の訪日15時間の強行軍に同行する』という記事を書いたが、それには、以下のような、より具体的な当日の総理の日程が載っている。

8:00 (北京時間)北京空港を離陸
11:20 (日本時間)福岡空港に着陸(歓迎式典終了後、車でホテルニューオータニに行き、あわただしく昼食をすませる)
13:00 ホテルニューオータニでイミョンバク韓国大統領と会見し、その後車で太宰府市に移動
14:00 九州国立博物館で麻生太郎首相と会見
15:00 日中韓三国首脳会議に出席
17:10 『三国間パートナーシップに関する共同声明』署名
17:20 三国青少年代表に会見
18:10 共同記者会見
18:45 麻生首相の歓迎晩餐会に出席
20:20 すべての政治日程終了
20:40 駐日大使館、領事館職員、華僑華人代表、中国資本の企業代表、留学生代表に接見

 北京を離れてから12時間、休憩時間もなく働き続けて、スピーチでは少し声がかすれていたが、華僑華人の今回の歓迎に感謝し、昨年の「氷を溶かす旅」に対する支持への謝意をあらわした。総理がすでに60歳を過ぎている身で、これだけ長時間の激務をこなしている姿には、本当に心が打たれる思いであった。

日中、中韓関係の重視

 温総理はスピーチの中で「日中韓三国は隣国で、いずれも東アジアで影響力を持つ国家である。平和友好、協力発展は、三国人民の共通の願いであり、東アジアの繁栄、安定に不可欠のものである。今回、発表した『三国間パートナーシップに関する共同声明』は、三国のパートナーシップを確立し、三国首脳による会談実施を制度化した点で意義深く、日中韓の協力関係が新たなる段階に進んだことを示している。来年は中国で三国首脳会談を行う。中国は日本、韓国と共同し、三国の協力関係をさらに進展させたいと考えている。」と語った。
 温総理は以前から、日中両国の世代を超えた友好の基礎は民間にあり、人々の心が大切である、日本の人々を信じ、彼らに希望を託そうと語ってきた。総理はまた、在日華人華僑に中国人の才智を発揮し、日中両国の友好関係の更なる発展に貢献してほしいと、切なる希望を語った。

勤勉、質素、節約の美徳

 これらは二つの面で見られた。まず第一に、温総理は今回の訪問では宿泊をしなかった。すべての職員がホテルに一部屋も借りることなく、当日夜北京に戻った。これは中国首脳の外遊では初めてのことである。国家のために支出を抑えようとしている。第二に、温総理が今回乗った飛行機はボーイング767型機を改装したもので、いつものボーイング747型の政府専用機ではなかった。報道によると、767型機だとジェット燃料を三分の一節約できるそうである。一国の総理がこれほど、勤勉、質素に、国家のために一銭の金、一滴の油を節約しようとする姿には感服せざるを得ない。
 夜、福岡市内に戻るバスのなかで、こぬか雨降る夜空を見上げながら心の奥で「総理、道中ご無事で」と祈った。